• テキストサイズ

ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話

第15章 暁風


「5日…というと…私が倒れてからいろいろあってその後…ってこと…」

「フフッ、あなたは人を魅了する力も持っているのね」

ロビンの言葉に首をかしげる。

「G-5の基地からここの島までそう直ぐにたどり着けるものかしら?」

「というとつまり基地をこの国のことを知る前から出ていたということ…?」

ロビンは頷く。

「あとでお礼をしっかり言わなきゃ…っと、ロビンさん、私が不甲斐ないばっかりに迷惑を」

ロビンが能力を使ってリンの口をふさぐ。

「リン、あなたは自分で思っているよりもすごい力を持っているわ。私たちが目にしたのはあなたの、フワフワの実の力…」

ロビンは話し始めた。

前夜の話し合いの時にリンに頼まれた西地区への巨大なパネルの設置。ナディーヌの演説が西にも伝わるようにしていた。夜通しで革命軍が協力して組み立ててくれたらしい。

そして作戦実行。

リンが気を失う事を想定していたサボが倒れるリンをしっかりと抱きとめ、城の屋根から地上へ降りた。ロビンとコアラは暴動が起きるかもしれないので、革命軍と一緒に密かに包囲をしていたのだが、出番は無かった。


多少なりとも反発の声が起こるものだと思っていたのに、人々は静まり返り、拍手が起こったのだ。

ナディーヌを賞賛する声も上がった。

それから事が進むのは早かった。

壁を東の人間が壊し始めた。そして驚く西の人間に手を差し伸べたのだった。


「あなたの妹さんは政策や色々なことで走り回ってるわ。あなたが大きな変化をもたらしてくれたから、自分はこの国を良い方向に持っていかなければならないって。本当によくやったわね」

ロビンは微笑みながらそう言った。

リンは信じられずに、自分の手のひらを見た。
以前、自分の手は小さく、非力だととあの人に弱音を吐いたが、彼はこう返した。

『だから俺たちがいる』

あぁ、やっとわかった。

きっと1人では何も出来なかっただろう。

でも仲間がいた。離れていても、心はいつも一緒だった。だからこんな事が出来たんだ。

リンはそう心から思った。何の確信もないけれど、それしか考えられなかった。

「私には仲間がいるから」

そう言って笑ったリンの笑顔。それは心からの、仲間への愛情が溢れた笑顔だった。
/ 179ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp