ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第15章 暁風
「そうか・・・っていうかスモーカー、葉巻は?」
リンはスモーカーの顔を見る。何か足りないとおもっら、彼のトレードマークといっても過言ではない葉巻がないのだ。
「お前の顔に灰が落ちたら大変だろ」
ぷいっとリンの視線から顔を背けながら言うスモーカーに、リンは笑みがこぼれた。
「・・ふふっ、小さいころみたい」
「・・・・・そうだな」
どこか懐かしむように今度はちゃんと目を合わせて言ったスモーカーだった。
医務室に戻ってくると、リンはスモーカーに向き合った。
「さて、これから私はこの国から姿を消すんだけど、海軍の船に乗せてどっか適当な島に落としていってください」
「断る」
「えーーーーー」
スモーカーはあきれたようにため息をついた。
「大体な、お前はこの国のひmムグッ?!」
リンがスモーカーのジャケットから葉巻をとり、口にいきなり突っ込んだ。
「姫とかやだ。無理。そこらへんはナディーヌが何とかしてくれる。私はもうこの国にいる理由がなくなったし」
「だがな・・・」
スモーカーは真面目な表情になった。
「お前ほどの戦力や力がある人間を政府や海軍が放っておくと思うか?」
「・・・思わない。けど、国王がいなくなった今、私は別にこの国にいる必要はない。あとあの国王が脅威だとか言ってたけどそれも全部なくなったわけだし。あとその他もろもろはたぶんどうにかなる!!」
「お前な・・・・」
スモーカーは深いため息をついた。
「・・・明日この島を出て海賊が暴れてるって通報が来た島に行く予定だ」
諦めたというような表情でそれだけ言って頭をガシガシと掻くスモーカーに、リンは抱き着いた。
「うおっ?!」
「スモーカー!ありがとう!」
昼になり、一旦船に戻る、とスモーカーが部屋を出て行った。
静かになる部屋。しかし外からは賑やかな音や声が聞こえる。
しばらくすると部屋の戸がノックされた。
「はい」
「リン、体のほうは大丈夫?」
「ロビンさん‼」
現れたのはロビンだった。
「ずっと見ていたのだけれど、海軍の少将さんがあなたが起きるまでずっとそばにいたから直接会うことが遅くなってしまって」
「ずっと?!・・・海軍が到着したのはいつだったんですか?」
「5日前の午後よ」