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ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話

第15章 暁風


リンは、ぼろぼろと落ちてくる涙を手の甲でぬぐう。

何かを忘れている。大切な何かを。それを思い出そうとすると胸のあたりが締め付けられる。
その場所に手を運ぶと、その場所は空洞だった。

「・・・心臓」

一瞬、不敵な笑みを浮かべる男が脳裏に浮かんだ。

「・・・だめだ、まだ死ねない」

リンは立ち上がった。


「戻らなきゃいけない」

リンは手を広げた。

「風よ、私を運んで」

そう言った瞬間、リンの足元から風が生まれた。その風はモノクロだった世界に色を付けた。

「ロー、まってて」

その瞳にはもう涙はなかった。






「・・・、・・・・‼リン‼」

目を開けると、そこには見覚えのある白い髪の海兵が。

「・・・スモーカー・・?」

安心したような表情のスモーカー。彼がなぜここにいるのかということは事前の計画を思い出せば理解できた。
コアラたちに頼んで、現国王の悪い噂や事実を海軍に流したのだ。
リンは必死に記憶を手繰り寄せ、自分の今の状況を理解した。

「・・・・ここは城か・・・私はどれだけ寝ていたの」

「5日だ」

その日数に驚愕した。

「・・・国は」

「それは自分の目で見たほうがいいんじゃねぇか?」

スモーカーが苦笑して言う。体を起こそうとすると、背中を支えてくれた。
立ち上がろうとするとよろけてまた座り込んでしまった。

「無理すんじゃねえ」

「わっ!!?」

スモーカーに所謂お姫様抱っこという抱き方で抱えられ、医務室のような場所だったその部屋のバルコニーに出ると。


「・・・・・え」


下を見れば東にいた住人が西にいた住民と仲良く共同作業をしているではないか。それも何か土木作業のような・・・

「・・・何か建造物でもつくるの・・?」

「見に行くか?」

頷いて、スモーカーに抱えられて外に出る。

すると。



「壁が・・・・ない」


城の裏側に来ればすぐ目にしたあの壁が、きれいになくなっているではないか。

「この国のことはもう世界に広まっている。もちろん、お前の名もな」

「私の名前も・・・それはまた・・・まあいいや。ところであのショボーンみたいな名前のやつと、この国を分裂させた男は?」

「あいつらは汚職まみれでな。もう捕まえた。今頃どっかの檻だろ」

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