ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第14章 業風
ナディーヌが泣き止んで、落ち着くまで背中をさすっていた。
落ち着いたところで、ある提案をしてみる。
「ナディーヌ、私はこの国を変えるために来たんだけど、協力してくれる?」
ナディーヌはパァっと笑顔になった。
「お姉様からのお頼みごと…!!!♡ナディーヌ感激ですわ…!!!♡私に出来ることなら何でもお申し付け下さいませ!!♡」
語尾にハートが見えるとリンは思いながら、効果を確信した。
「じゃあナディーヌ、早速なんだけど…」
夜、街にあるバーに行き、VIPルームへと向かう。重苦しい黒いドアを開けると、三人が待ち構えていた。
「あなたの能力って、素晴らしく便利ね」
「ロビンさんのも便利そうだけど…私のは発想の転換、とまでは行かないけど使い方をいろいろ模索すれば結構使えたってだけで。あとほら!これ夢小説だから!…ん?」
「最後の一言は聞かなかった事にするわ」
ロビンが言う。
「おれは能力者じゃねぇからよくわかんねぇなぁ」
「サボくんも便利じゃない、爪」
そう、ナディーヌの洗脳の効果を確かめた直後、伝書風を使い、今夜集まると伝えていたのだ。
「この部屋は大丈夫だった?」
リンが聞くとコアラがウインクをした。
「うん。盗聴器、監視カメラ、何も無かったよ〜」
「よかった。じゃあ本題に入るね」
そう言ってソファに腰をかけ、口を開く。
「明日の午前9時に、国民全員が城の前に集まる城でのセレモニー的なやつがあるらしいんだ。その時に洗脳させる」
「すごい人数だけど、大丈夫?」
「大丈夫…だと思う☆」
コアラがどんよりとした顔をする。
「だと思う…」
「何かあったらすぐおれたちでフォローすればいい」
「…そうだね」
コアラはしぶしぶ納得した。
「それと、私の義理の妹であるナディーヌが協力者になった。だからナディーヌにも手伝ってもらうことにしたの。彼女の役目は、この国のマスコットキャラクター的存在」
「彼女に、この国を託すのね?」
「ロビンさんご名答!そう。現国王を追いやった後には彼女にこの国を任せる。女王という立場でなくてもいいから」
ロビン、コアラ、サボはじっとリンを見つめた。