ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第14章 業風
近くを歩いていた執事にナディーヌの部屋を聞くと慌てて教えてくれ、また運ぶのを変わると名乗り出てくれたが断った。
ナディーヌの部屋に行き、ベッドに寝かせる。すると少し経って目を覚ました。
「…あれ…わたくし…」
「あ、起きた?気分はどう?」
「お姉様…!!!!」
がばっと起き上がったと思うと抱きつかれた。
「お姉様!!私、幼い頃からお姉様のことをお慕いもうしあげてましたの…しかし父上がお姉様に酷い事ばかりしろと命令を…私…っわたくし…っ!!!!」
突然の告白と号泣にわけがわからなくなった。
「えーと…落ち着いて…ほら、座って」
ベッドの淵に座らせ、その隣に座るとコテンと頭を肩にあずけてきた。
「な、ナディーヌ…」
「私、気付きましたの…」
「え?」
「もう私も17…自分の意思は自分で決めますわ。お姉様の部屋にあった書物、全て読みましたの。この国の惨状は放ってはいけませんわ…そのために変わらなければなりませんの」
「…!!」
これは効果があったと見て良いのか。
「…あれ?ナディーヌ、私と歳そんなに近かったっけ??」
「あぁ、おそらくわたくしの能力で封じた際に、あの頃はまだ完全ではなかったから何か勘違いを起こした可能性は有り得ますわ」
「なるほど…そりゃそうだよなぁ…生まれたての子に私の記憶封じることなんて出来ないもんなあ…」
「わたくし、お母様の連れ子でしたわ」
「あ、そういえばエディットさんは?」
エディットとは、ナディーヌの実の母親であり、リンの義母である。
「私のお母様も、用済みだと、殺されましたの…」
「…」
リンはナディーヌを抱きしめた。
「おおおおおお姉様?!」
「辛かったね…」
「何をおっしゃいますか…お姉様の方がよっぽど辛い思いをされておりますわ…わたくしだってお姉様に辛い思いをさせた一人ですもの…」
ナディーヌは泣き出した。
「そんな過去のこと、もうどうでもいいよ。それより、今までよく逃げずにこの国に居てくれたね。ありがとう」
そう言うとさらに泣き出して、ごめんなさいと言うナディーヌを撫でた。
「ありがとうにはどういたしましてって返すんだよ」
笑いながらそう言うと、ナディーヌは顔を上げた。
「お姉様…ぐすっ…ひっく…はい、どういたしまして」
ナディーヌは微笑んだ。