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ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話

第14章 業風



「…風を纏う従者は、Dの忌み名をもつ者の羽に」


「Dの忌み名??」


ロビンは頷いた。

「ええ…恐らく風を纏う従者はあなたね。それから忌み名…それにこの予言のような文…気になるわね…」

じっと観察を続けるロビン。リンはその姿を見ながら、忌み名という言葉が気になっていた。

「とりあえず、私はその忌み名の人の羽になる事が望ましい、っていうことなのか…」

「そうね…だけど、断定するには材料が足りなさすぎるわ…」

「んー、まぁいいや!読めたってことが進歩。一歩前進できた気がする。ありがとうロビンさん!」

「…ふふ、どういたしまして」

それから地上に出て城に戻った。ロビンは裏側からひっそりと。リンは正面から堂々と。

そしてそこで待ち構えていたのはーー


「お久しぶりですわね、お姉様。突然ですけれど、すべての記憶を封じさせていただきますわ」

城の扉を開けると二方向から二階部分に登れる階段がある。その二階部分からそう言い放ち、降りてくる人物。
金色の髪を腰のあたりまで伸ばし、ふわふわのピンクのドレスを纏っている。
ある特定の記憶に鍵をかけることが出来る能力、カギカギの実の能力者、ナディーヌ。

「……ナディーヌ…」

「お姉様…」

睨み合いが続くー…と思いきや。

「可愛くなったね!!!」

「…は?!」

ナディーヌの外見は、リンが覚えている姿と少し変わっていた。冴えない顔が見事美人になっている。

「私が男だったら嫁に欲しい」

「そそそそんなコメント想定外ですわ…!!」

ナディーヌは何故か顔を赤く染めて顔を背けた。

「じゃ、初めますかね」

「な、何ですの?」

突然目の前に現れたリンに戸惑うナディーヌの額に手をかざす。

「変性風、ブレインウォッシング!」

ブワッと風が吹いて、ナディーヌは倒れる。それを受け止め、お姫様抱っこをした。


「この技疲れる…まぁ結果を見てみますか」


ふと、今自分がナディーヌにしているこの抱き方を、かつてしてもらったという記憶が蘇る。それと同時に、会いたい、という感情もまた抑えきれなくなりそうだった。

「ロー…」


名前を呼んで、ブンブンと首を横に振る。

「まだ、やる事やってからじゃないと」

そう自分に喝を入れ直し、ナディーヌの部屋を探しに歩き出した。
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