ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第14章 業風
リンは適当にロウソクとマッチを探し出しポケットにしまい込んだ。
「さて、ロビンさんを探そう」
風を遣わせ城内のどこにいるかを把握する。
「書庫だ」
リンは姿を見えなくして書庫に向かった。
そこには、見事に司書として溶け込んでいるロビンの姿があった。
「ロビンさん、ちょっといい?」
小声で話しかけると、ロビンはニコリと微笑み頷いた。
変装をしてロビンと街に出る。
今度は東の街。
きらびやかで、豊かで、賑わっている。
「ロビンさん」
「なぁに?」
「私、ルフィに会ったとき、彼ならこんな腐った国でも立ち直らせることができるような気がした。でも私にそんな力は無くて…」
俯くリンに、ロビンは微笑んだ。
「ルフィは、私の人生も変えてしまったの」
「え?!」
「ふふ、ルフィの行動は本能的だけど、いつも中途半端にはしない。ちゃんと筋を通す。そんな人ね」
「中途半端…私は中途半端かな…」
「ふふ、それでもいいんじゃない?」
「…ロビンさん」
そっと背中を押してくれるようなロビンに、リンは胸を打たれた。
「よし!私は中途半端を貫く!!!」
「ふふ、面白い子」
そして、ロビンと街を一周したあと、幼い頃よく行っていた城のすぐ裏にある林に連れていく。
「ちょっと見て欲しい物があって」
「見て欲しいもの?」
ふたりは街から少し離れたひとけの無い山に来ていた。その山の大きな岩のあるところでリンは止まった。
リンは手を地面にかざし、風を吹かせる。
すると途端に穴が姿を現した。
「まぁ」
「私が悪魔の実を食べてから偶然見つけた秘密基地」
穴の奥には階段が続いていた。
持ってきていたロウソクに火をつける。
「久しぶりだな〜」
「ここは…誰が作ったのかしら」
「わかんない。もしかしたら、一番下の部屋にある石に書いてあるのかもしれないけど、読めなくて。ロビンさんなら読めるかなって。そしてここ」
指さしたのは足元だった。
「これ、読めなくて…」
そこには落書きのように彫られた、ポーネグリフに刻まれている文字と同じ文字が少しだけあった。