ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第14章 業風
「そういうこと…」
実の父は顔も見ることもなく、政府に殺されていた。
「センゴクも、私の前のこの能力者が私の父だったなんて知らなかったんだろうなぁ…へぇ…」
手紙をぼーっと見つめ、ぽつりと呟いた。
「私はどうすればいいんだろうね、ロー。…会いたい……」
そう口にしたとき、涙が自然にこぼれた。
ふと、手紙には続きがあったことを思い出し、涙をそのままに目を文字に向けた。
「あの人の後に、タイミングを見計らったように来たのが、公にあなたの父親となっている人です。きっと権力と財力欲しさに近づいたのでしょうけど、私は逆にあの人を使わせてもらったわ。政権を委ね、いつか混乱を招いてくれると思ったから。でも、私はそこまで生きることができません。政権を委ねた日から私は用済み、毒を盛られていたのです。きっと明日か明後日には死ぬでしょう。あなたにはたくさん辛い思いをさせてしまって、ごめんなさい。どうか、生き延びて。どんなことがあっても、生き延びて。私はいつもあなたのそばで見守っています。」
手紙を最後まで読み終わり、リンは立ち上がった。
「私はこの国をーーー」
翌朝、サボとコアラを呼んだ。母の部屋に。
「この島を換気しよう」
「「換気?????」」