ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第14章 業風
「おまえさん、ルフィもエースも知ってんだな!」
サボが人懐っこいような笑顔を向けて言った。
「…ということは」
「その金髪小僧がおれだ」
「…ということは三兄弟の一人…」
「そう」
リンは苦笑した。
「革命軍がここにいるってことは、私の素性もわかってるということでいい?」
「ええ。あなたは『Dの従者』である家柄の子孫、レーブロン・E・リン」
コアラは言った。
「私自身、それ知ったの最近なんだけどね」
「え?」
「母は早くに死んでしまったから何も知らなかった。そしてこの能力を手に入れてからも、自分から過去のことを風から読み取ろうとしなかった」
リンは母親の肖像を見ながら言った。
「でも、そうせざるを得なくなった。そして、私が『Dの従者』だということがわかった。だいたいそんな感じ」
ロビンが口を開く。
「確かに貴方の食べたフワフワの実は、扱いに困る悪魔の実として知られているわ。大抵の確率で、食べた人間は風のもたらす膨大な情報によって脳がパンクし、死んでしまうと本に」
そしてコアラが続く。
「でも、そうならなかったのは、Dの従者の血を引いていたから」
「…なるほど…」
リンは二冊の本を思い出す。
あそこには何も書かれていなかった。それにはこのDの従者というのが関係しているのかもしれない。
「まぁとにかく、そろそろリンを部屋に連れてった方がいいんじゃねぇのか?」
サボが言い、同意してメイドのフリをしているコアラの後についていった。
「こちらがお部屋です」
通された部屋には、過去に二、三度見た顔が。
「遅ぇ!!!何してたァ!!おれをこんなに待たせやがって!!」
「申し訳ありません、ショー・ボンコ様!!」
コアラの迫真の演技に感心しつつ、もう下がっていいよと伝えた。
「久しぶりだなぁ?リン」
「…誰」
「テメェふざけんのもいい加減にしろよ?!!」
「うるさい。で、なんでお前がここにいる」
「あぁ?テメェの質問にゃ答える価値が無ぇ!」
椅子にどっかり座り、まだ戯言を並べるショー・ボンコの真後ろに剃で移動をし、ショー・ボンコの風を読んだ。