ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第14章 業風
リンはメイドに声をかけた。
なぜなら、普通のメイドではないと感じていたからだ。
「はい?」
「ちょっとごめんね」
そういって肩に手を置くとほんの一瞬でそのメイドの素性を垣間見た。
「……ねぇ、少し話をしない?」
幼い頃の記憶を辿って、亡き母の部屋に来た。
驚いたのは、綺麗なままだということだった。
「本題に入る前に一ついい?」
「ええ」
「この部屋は誰か掃除とかしてるの?」
「はい。あるメイドが毎日…元王妃のそばに仕えていたという方が」
「そう……ありがとうコアラさん」
「!!!?」
バッと構えるコアラ。
「私に戦闘の意思はないよ。それより何故革命軍がここにいるのかを知りたいんだけど」
「……あの時に見たのね」
「肩に手を置いた時。ごめんね。記憶の一部始終を覗いちゃったの。お詫びというか対等にというか…私のも見せるね。手をかして」
不審そうに差し出した右手に自分の手を重ね、断片的に記憶を見せた。
「……‼︎これは……‼︎」
「聞きたいことがあったら、協力する。まだ信用できないようだったら…」
「ううん、十分。それより、もう二人人会って欲しい人がいるんだけど」
「?」
数分後、会わせたい人を呼んでくると出て行ったコアラが戻ってきた。
コアラと同じくメイドの格好をした女性と、特に変装をしていなさそうな、シルクハットをかぶっていて、左目のところに火傷のような傷がある、金色の髪を持つ男。
「はじめまして!おれはサボ」
金髪の男が言った。
「はじめまして、リンです」
「ニコ・ロビンよ」
聞き覚えのある名前に驚いた。
「…!!…麦わらの一味がバラバラになったとは知ってたけど、なんでまた革命軍に…」
「ふふ、なにかの導きかしら」
「それはそうと、会えて嬉しい!!ロビンさん!!ポーネグリフのことを調べていると読みました」
「読んだ…?」
ロビンは首を傾げる。
「私は風を読めるんです。ちょうど一年前くらいかな…麦わらのルフィと少しだけ関わることがあって…ん?」
ロビンの隣にいたサボが敏感に麦わらのルフィという言葉に反応したようで、目を見開いている。
「…一年前…頂上戦争の頃ね」
「そう。その時に…っていうかその、エースの記憶覗いた時にチラッと見えた帽子の金髪小僧ってまさか…」