ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第13章 朝凪
初めて見たときは、こんな風に可愛げがあったら……なんて思っていた。
年はたしぎの方が上だが、『リンさんっ』と慕ってくる姿は子犬のようで可愛いなんて思ってしまった。そんな頃からだろうか、彼女を励ましたりするようになったのは。
思い出して、リンは自然と笑顔になった。
「たしぎちゃんは強いし可愛いし、大丈夫。スモーカーだって、認めてるんだから」
「そうでしょうか……」
「認めてないなんて言ったら私がスモーカー殴る」
笑ってそう言うと、ダメですよ!とたしぎが慌てて言って、笑った。
「まぁ会えなくなることは無いんだし、第一私の能力飛べるし。ね?」
「ふふ、そうですね!」
笑顔を見せてくれたたしぎに、微笑むリン。
すると、心地よい睡魔がやってきた。
「ふああ……たしぎちゃんの笑顔みたらなんだか寝れそう」
「えっ?!それどういうことですか??」
「あはは!安心したのかも」
笑ってそう言うと、それなら良かったです、とたしぎも笑う。
「おやすみ、たしぎちゃん」
「おやすみなさい、リンさん」
挨拶を交わし、リンは部屋に戻りベッドに入った。
翌日、基地長室に呼ばれ、ヴェルゴから出航が早まるという伝達を受けた。
至急にリンをこちらへよこせと連絡が来たらしい。
リンは部屋に行き小さな荷物を持って、再び基地長室へ行った。
「君がいなくなると、さみしくなるよ」
「たかが一年ですけど…あと今朝の朝食はハンバーグですね」
「何故わかった……好物だが…」
「付いてます」
「…まぁそれはさておき、外に船はもういる。体に気をつけてな」
「お世話になりました」
頭を下げ、モグモグとハンバーグを食べているヴェルゴに背を向け部屋を出た。
まだ早朝であるために、海兵たちはいない。帆を張っていつでも出航できる海軍の船を見つけると、飛び乗った。
すたっと甲板におりると、ガラの悪くない、普通の海兵たちが出航の準備をし始める。
「リン准将、準備ができました」
「……出航を」
「はい」
船は静かにG-5を離れた。