ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第13章 朝凪
「調子はどう?」
「クザン!…おかげさまで」
「そうか、そりゃよかった」
「それと、トラファルガーの…」
いいかけて、口をつぐんだ。
「あぁ、びっくりしたよ。一瞬おまえが呼んだのかと思ったくらいだ」
「まさか」
クザンはスモーカーの隣にある丸椅子に座った。
「クザン、これからの事で聞きたいんだけど」
「まぁそう慌てるな。お前の母国の話だろ?」
リンは頷いた。
「慌てるなって、どういうこと?」
「向こうから、海軍での武闘訓練をさせろと連絡が入っていた。てなわけで、スモーカー、頼むよ」
「は?」
リンも状況が飲み込めず、眉を寄せているのに、突然名前を言われたスモーカーは余計に訳がわからなかった。
「だからぁ、リンを鍛えてやってくれ」
「…アンタが鍛えてやったらいいんじゃないか?」
「生憎おれは忙しいんだ」
「昼寝とか?」
リンがさりげなく口を挟む。
「そうそう昼寝…あ…まぁそんなわけで頼むよ」
もはや否定もせずに立ち上がり、リンの頭を一撫でしてお大事に、と言って部屋を出ていった。
「しかしまた…急な話だな」
「……私を傭兵にでもするつもりなのか…」
うーんと三十秒ほど考えた後、「ま、いっか」で終わらせたリンに、スモーカーは呆れたような、あっけに取られたような顔をしていた。
あれから一週間後。
「おりゃぁぁああ!!!」
「勢いだけじゃ駄目だぞ。おらっ!」
ドスン!!
鍛錬の時間、海兵と体術の訓練をするリンの姿があった。しかし、一緒に訓練と言うより、教えている
と言った方が適しているような状況だった。
「瞬発力が足りない」
「おわっ」ドスっ
「はい、次!!」
そんな様子を眺めながら、クザンはふうと息をつく。
「で、お前さんはほんとに行くのか?」
「あぁ。標的は近い方がいいんで」
「じゃあアレも連れてって」
スッと指をさした先には、先程まで眺めていた奴が。
「…わかった」
こうして、リンは新世界にあるG-5に行くことになった。