第6章 故郷もいいけど
「…あっそ。なら俺は帰るわ」
及川「えっ!?」
「じゃーな」
及川「ちょ、待って!終わり!?もっとこう…俺の方がアイツを好きだ!みたいな事ないの!?」
「それこそ無駄だろ。好きを数値化できるわけでもねぇし、そもそも俺らがいくら争ったって決めるのはだ。早いトコお前を帰して、謝る方が重要なんだよ」
会って謝りたい。
そして
おかえりって言いたい。
及川「…へえ。が懐くわけだ」
「あ?」
及川「なら俺も帰るよ。そろそろ帰らなきゃ、岩ちゃんに怒られちゃうからね」
及川はあからさまに肩をすくめた。
及川「今度会う時は…IHかな」
「…どうだろうな。宮城代表は烏野になってもらわねぇと困るからな」
及川「烏野!?」
烏野という言葉に過剰に反応した及川に、ざっとゴミ捨て場の決戦の話をする。そして、明後日行う練習試合の相手だとも。
及川「なるほどね…クロちゃん、とりあえず1つアドバイス」
「いらねえよ」
及川「聞くだけ聞いてくれてもいいじゃん!…アドバイスっていうか忠告なんだけどさ。
烏野のセッターには、気をつけなよ」
「?強いのか?」
及川「そういう意味じゃないんだけどね。ま、明後日になれば分かるよ。それと、明日そのセッターをコテンパンにしてくれるとありがたいんだけどな」
知り合いか?って事はも…そういう事か。
「あっそ。なら遠慮なく退治してくるわ」
及川「良い結果、期待してるよ~」
及川は今度こそひらひらと自分の手を振りながら、背中を向けて歩いて行った。
見送る義理もねえし、早くに謝りたかったため、俺も踵を返した。
(まず最初に、何て言おうか)