第6章 故郷もいいけど
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なぜ及川(心の中では完全に呼び捨て)達がいるのか分からなかったけど、どうやらおばあちゃんが招待したようだ。
余計なおまけ(及川)が付いてきたけど、会えないと思ってた彼らに会えたのだから、素直に嬉しい。
あとは…
『ねえ岩ちゃん先輩、飛雄ちゃんは青城じゃないの?』
岩泉「ああ、あいつは…」
及川「ストーップ!わざわざ飛雄ちゃんの居場所なんて教えなくても構わないよっ」
邪魔されたのはムカつくけど、勇太郎や国見ちゃんも確かに、と頷いたため、それ以上の追求をやめた。
と同時に、あたしが引退する前から険悪だった飛雄と勇太郎たちの関係は、改善されていないことが分かって哀しくなった。
ねえ飛雄、あなたは今笑って大好きなバレーが出来ていますか?
国見「そう言えばさん、バレー部のマネージャー続けてたんスね」
『ん、まあね。ほぼ強制的にだけど』
金田一「さんも転校なんてしなければ、俺らとこうしていつでも会え(むがっ!」
勇太郎の言葉を片手で制したのは及川だった。さすが女の気持ちが分かる男、及川徹。例えそれが元マネージャーでも、気がつかえるのはモテる由来だろう。
金田一「あっ…すんません…」
『気にしないで。確かに宮城を離れるのは嫌だったし寂しかったけど…東京も負けじと楽しいし。それに、帰る場所があるってのは純粋に嬉しいからさ。…わっ!?』
突然、頭を撫でられた。クロ君みたいにグシャグシャと乱暴なその手は、クロ君と違う優しさと温かさがある。
昔何度も何度も撫でられた、岩ちゃん先輩の手だった。
あたしが泣きそうな時、決まって助けてくれた大きな手。そして最後には…
及川「君はその小さな体に、どれだけの思いを詰め込んできたんだろうね。でも、泣かないで、。が泣くとき、それは俺たちが優勝した時。そうだよね?」
変わらない。
あの頃と何も変わらないチームメイト。
勇太郎も国見ちゃんも、片方の手をそれぞれ握ってくれている。
あたしは自然と笑みを浮かべた。
『ありがとう』
(くぅー!!どうしてはそんなに可愛いのさー!)
(おばあちゃん、おかわり!)