第6章 故郷もいいけど
ー及川ー
容姿端麗、スポーツ万能、成績優秀…まさに俺のための言葉だと思う。
それほどまでにハイスペックだと思う俺にも、この世で最大のコンプレックスが3つある。
岩泉「チッ…またウシワカ特集組まれてるべ」
1つめは県内でも強豪校のエース、県外でも全国3本の指に入るまでのウイングスパイカー、牛島若利。
通称、ウシワカ。
中学で1回も勝てなかった。こっちがどんな強烈なサーブを打とうと、どんなコンビネーションを使おうと、あの圧倒的なパワーの前では叶わなかった。
だけど諦められる俺でも岩ちゃんでもなく、高校最後の今年も打倒ウシワカちゃんに燃えている。
金田一「そう言えば、昨日夜影山から変なメール来たんだけど」
国見「珍し…どんな?」
中学の時のクソ生意気でクソ可愛くない後輩、影山飛雄。
皮肉も込めた言い方で、飛雄ちゃんと呼んでいる。
圧倒的なセッターセンスを持ちながら、その実力に満足する事なく常に貪欲でいて、俺を後ろから物凄いスピードで捉えようとしてくる、コンプレックスの2つめ。
そして最後は…
金田一「やっぱさんからのメール、影山にも届いてたみたいでさ。結局何が言いたいか分からなかったけど、さんの所在を知りたかったんじゃないかって」
中学時代の可愛い可愛いマネージャー、。
女の子に好かれるだけだった俺に、初めて刃向かった女の子。
顔は可愛くて、少し脂肪がついた身体はとても柔らかい。
いつもは冷たーい言葉をぶつけてくるけど、誰よりも選手の事を思ってて、誰よりも優しい女の子だ。
そんな彼女に愛を囁くものの、全く相手にしてもらえない。
(うわー!自分で言ってて哀しくなったじゃないか!)
(知るかボゲ!クソ及川!!)