第6章 故郷もいいけど
ただいま午後6時を回りました。なんとかバスにも間に合ったあたしは、現在そのバスに揺られおばあちゃん家に向かっている。
帰ったらもう1度お礼を言おう。
みんなが手伝ってくれなかったら、きっと諦めてたと思う。
あたしは小さく笑うと、久しぶりに見る景色を楽しんだ。
おばあちゃん家は俗に言う田舎に存在している。東京に比べればほとんどが田舎になってしまうけど、おばあちゃん家は本当に山々と田んぼ、川に囲まれた田舎だ。
小さい頃は木登りや川遊び、時には稲刈りなど手伝いもして育った。
今でも木登りは出来たりする。
バスから降りると、なんとも懐かしい空気が鼻を刺激する。
宮城に久しぶりに足を踏み入れた時とは違う、本当に帰ってきたんだという安心感も混じって。
おばあちゃん家はバス停から更に徒歩10分のところにある。街灯もない真っ暗な道だけど、この地域の人達は全員顔見知りで、襲うなんて人はいないこともあたしは知っている。
軽い足取りと、空腹のお腹をかかえおばあちゃん家に急いだ。
『ただいまーっ!!!』
インターホンなんてないおばあちゃん家の玄関の扉を、あたしは思いっきり開き叫んだ。
「おかえりーっ!!!」
ピシャリ。
(ちょ!?どうして閉めるのさ、ちゃん!?)
(これは夢だこれは夢だこれは夢だ…)