第6章 故郷もいいけど
「「「「「おつかれっしたーーー!!!」」」」」
爽快な挨拶とともに今日の練習試合が終わる。今日の相手は和久谷南高校で、宮城の中でもベスト4に入る納得の強さだった。
あたしたち音駒高校の成績は、通算8セット勝ち7セット負けで、勝ち越したものの勝てたとは言い難い結果となった。
お互い粘り強いレシーブで、手に汗をかきっぱなしの試合となったわけだけど、あれが本番だったら手どころか全身に汗びっしょりだっただろう。
一方あたしはというと、試合後から動きっぱなしだった。急いでユニフォームを洗濯し、洗濯機があたしの代わりに働いてる間にボトルの洗浄やご飯の準備を進める。
正直、急いでる分何倍も何十倍もきつい。
それに、あと5分で大量の洗濯物を干さなければ約束の時間にもバスにも間に合わない。
ごめん、おばあちゃん。
そう思った時だった。
「何ボケッとしてんだ。さっさと終わらせるぞ」
1枚のユニフォームをバサバサと皺を伸ばしているのは、クロ君だった。
その後ろではせっせとハンガーを集めている研磨。
ヒラヒラと手を振る夜久ちゃん先輩。
後ろには目線を合わせてくれないながらも手伝おうとしてくれている山本君や、
後輩に指示してる海先輩、
じっと洗濯物を見つめる福永君、
俺も手伝います!と元気よく犬岡君など、ご飯に行ったはずの音駒高校排球部全員がいた。
『なんで…』
「あ?みんなでやった方が早いだろ」
「でも!」
夜久「まあ主将の命令でもあるし、それに俺たちコイツが何も言わなくても手伝ってたと思うし」
クロ君の…命令?でも、なんで?
「早くもやれよ。いくら俺たちがいてもお前の方が早いんだからよ」
「。…ね」
『っ…うん!!』
素晴らしいチームメイトをもちました。
(あっ!クロ君それ反対!)
(あ?いいだろ別に)
(いくない!やり直し!)