第6章 故郷もいいけど
そのまま研磨とクロ君と一緒に食堂へと向かう。そしてご飯を食べる前にクロ君に言わなければならない事があった。
『クロ君』
「ん?」
『今日、夜ごはんを食べにおばあちゃんの家に行きたい。それまで仕事は一生懸命やって全部終わらせる。だから、外出許可ください。お願いします』
テーブルに座っていたあたしは、額がテーブルに当たるギリギリまで頭を下げた。
だけどクロ君からの返事は予想外のものだった。
「いーよー」
『…っは?』
「は?許可しなくてもいいのかよ」
『いや…そうじゃないけど…いいの?』
「それまでに仕事終わらせるんだろ?それに、婆ちゃん家なら安心だしな。ただし、帰る時は連絡しろ。迎えに行く」
クロ君はいつものように頭をポンポンと撫でてくれる。あたしは嬉しくなって満面の笑みでお礼を言った。
『ありがとうっ、クロ君!!』
「…っ…おう」
「早く帰ってきてね」
『分かってるよ、研磨』
クロ君は顔を片手で隠しながらご飯を食べ始めていた。
(もしかしたらおばあちゃんが車で送ってくれるかもしれないから、迎えは大丈夫だよ)
(それでも連絡しろ)
(クスッ…はいはい)