第6章 故郷もいいけど
無事に全ての洗濯物を干し終わり、食堂に着くと研磨とクロ君の姿が見えなかった。
『夜久ちゃん先輩、研磨とクロ君は?』
夜久「…忘れてた。海、起こしに行くか」
『え、まだ寝てるの?』
夜久「いつもの事だよ。あいつら低血圧なのか、全然おきねぇんだ」
そうなんだ。研磨はなんとなく想像つくけど、クロ君もだったなんて。
『夜久ちゃん先輩も海先輩も、さっさとご飯食べちゃってください!あの2人は責任もってあたしが起こしてきます!』
夜久「いや、俺らでやるよ」
『ううん、これもマネージャーの仕事ですから。ほら、座って座って!』
海「そこまで言うなら…じゃあ、すまないが頼んだ」
『任せてください!』
夜久ちゃん先輩はまだ納得いってないようだったけど、海先輩から説得され、渋々といった感じで納得してくれた。
部員達が寝ている大広間に着くと、音楽を聴きながら寝ている研磨、なぜかうつ伏せになって枕で顔ががっちりとホールドして寝ているクロ君の姿があった。
…どういう寝相?
きっと誰もが思う疑問だと思う。
そして夜久ちゃん先輩と海先輩の言葉を思い出す。
研磨はなかなか起きないけど、クロ君が協力すれば比較的簡単に起きるらしい。だから最初はクロ君を起こすように、と。
だけどクロ君はなかなか起きない、と。
とりあえずクロ君の体を揺すってみた。
『おーい、クロ君?朝だよ?起きて』
「…Zz」
返事がない、ただの屍のようだ。
『クロ君!朝!起きて!』
「…Zz」
返事がない、ただの屍(ry
『…クーローくーんー!!!あーさー!!!!おーきーてー!!!!!ひゃっ!?』
これはなかなか起きないと思ったあたしは、耳に枕があるため間接的ではあるけど、耳元で大声で叫んだ。
するとやっと動いたと思ったクロ君の右手があたしの左手を掴み、あっという間にクロ君の胸の中にいた。
(何が起きたのか、分からないまま)