第6章 故郷もいいけど
『研磨』
あたしが自分でもコレ以上ないくらい優しい声で研磨を呼ぶと、おずおずと、でも体を離してあたしの目を見てくれた。
『今日、研磨が助けに来てくれて嬉しかったよ』
「…でも俺、を助けてあげられなかった」
『そんなことない。研磨が来てくれなかったらあたし、きっとブチ切れて迷惑かけてたもん』
「…でも」
それでも自分が助けたかったと研磨は言ってくれた。その優しさが嬉しくて、あたしは研磨を真正面から抱きしめた。
『ありがと、研磨。それじゃあ今度から、ちゃんと研磨にお願いしようかな』
「…うん、今度こそ俺が助ける」
『うんっ!じゃあご飯食べようか』
研磨はあたしから離れるものの、しっかりと隣に座ってご飯を食べてた。
ちなみに今日のご飯はアジの塩焼きだった。
「、やって」
『やってって…骨を取るの?』
「うん」
研磨のアジを見ると、確かに苦戦したのか、ぐしゃぐしゃになったアジが身を散乱させた姿になっていた。
クロ君に甘やかしすぎだと怒られたけど、研磨のお願いは断れなかった。
(つーかアジじゃなくてサンマの方が良かったな)
(文句言わないの)
(…、俺には厳しいな)