第6章 故郷もいいけど
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運動公園へ着き、荷物を置けばそのまま近くの高校へ向かう。移動は徒歩で充分な距離だった。
相手校に挨拶をし、ドリンクやタオル、スコアボードの準備をしていた時、相手校の選手に話しかけられた。
男「あの、ちょっといい?」
『はい?』
男「うわっ、やっぱ可愛いって!細すぎず太すぎず…絶妙だべ!」
…何、こいつら。見るからに頭軽そう。こんな人達、音駒のみんなにボロボロにされちゃえばいいのにっ!
男「ね、ね、彼氏いるの?」
『…いないですけど』
「、コレ」
『ありがと、研磨』
研磨なりに助けたかったのかな。研磨の性格じゃ難しいだろうけど、その綺麗な優しさが嬉しかった。
そしてその気持ちが顔に出てたのか、男の人が疑問を抱いた。
男「もしかして、今の男のこと好きなの?」
『…は?』
男「まじ!?うわ、ショック…あいつセッターだよな?でもなんか小さいしヒョロくね?」
むっ…研磨のこと何も知らないくせに、そんなこと言わないでよ。って、あたしも研磨のセッターとしての本当の実力は見たことないんだけど。
だけど研磨を馬鹿にしたのは許せない。
『ちょっと…』
「君たちの言う小さくてヒョロいセッターは…
俺たち音駒の
背骨で
脳で
心臓です」
クロ君はいつものようにニヤニヤと笑っていた。
(クロ、恥ずかしいからやめようよ)
(かっこいいだろ)