第5章 ようこそ、音駒高校排球部へ
ーー
翌日、朝練があるとのことでいつもより1時間早く家を出た。いつもは徒歩で通学しているけど、夜も遅いし朝も少しでも時間に余裕をもたせるために自転車通学にした。
『いってきまーす!』
「オイ」
『ひゃっ!?』
突然誰かに声をかけられたと思ったら、今度は自転車を後ろから強制的に止められた。家を出たばかりでスピードが全然出てなかったのが幸いした。
それよりも、この声には聞き覚えがある。
『…何してるの、クロ君』
「迎えに来たんだよ。ほら、行くぞ」
そう言ってクロ君はあたしから自転車を奪うと、荷物を籠に乗せて跨った。後ろを開けてくれているんだから、乗れということか。
「何してんだよ。遅刻すっぞ」
『あ、うん。いや、重いからいいよ』
「いいから早くしろ。俺が遅刻とかあり得ねえ」
半強制的に荷台に乗るように言われ、仕方なく腰を下ろした。自慢じゃないけど、本当に重い。けど前も言ったけどBMIは普通くらいだから!
『お、重い…よね』
「確かにお世辞にも軽いとは言えねえ」
『うっ…』
「ははっ!けど重くもねえよ。しっかり掴まってろよ」
目の前で自転車を漕ぐクロ君がちょっとだけカッコよく見えて、それが悔しくて自転車をガタガタと揺らした。
(うわっ!?危ねえ!!何するんだよ!)
(べっつにー)