第5章 ようこそ、音駒高校排球部へ
あれからの反対側の手はしっかり、ちゃっかり研磨と繋がれていた。俺の勇気は研磨にアッサリと破られたのだった。
『じゃああたしこっちだから、終わったらレジ付近に集合しよ!』
のこの一言で一旦解散したはいいものの、特に買いたいものなんて無かった俺は路頭に迷った。研磨は本当にゲームの本を買いたかったらしく、スタスタとどこかに行ってしまった。
最初は俺も漫画コーナーとか文庫本コーナーとか見るけど、漫画も文庫本も読まない俺にとって本屋は時間を潰すにはかなり窮屈だった。
それにしても、はどこに行ったんだろうか。
時間を持て余した俺はを見つけるために店内を歩き回る事にした。
そして見つけた。
見つけた場所は、料理コーナー。
「お前料理するのか?」
『わっ!びっくりした…脅かさないでよ』
「悪い悪い」
『うわ、絶対思ってない』
フンとそっぽを向いた時、フワッと舞ったの髪からはシャンプーの良い香りが俺の鼻を刺激した。
「で、料理するのか?」
『残念ながらあたしにそんなスペックはありませーん。研磨にアップルパイ作ってって頼まれたから、本買おうと思って』
と言いながら見せてくれた本は、初めてでも簡単!美味しく作れるスイーツレシピ☆だった。
(何とも言えない心の痛みが俺を襲った)