第4章 非日常、再び
「なかなかうめえな」
『あたしのいた中学、全国でも充分通用するレベルでしたから』
「それでもうめえよ。リエーフにも見せてやりたいくらいに」
『どーも』
このいつまででも続いてほしいと思ったラリーは、授業の終わりを告げるチャイムで呆気なく幕を閉じた。額にはうっすらと滲む汗。もそうであるのか、袖で汗を拭いていた。
『じゃああたし帰ります』
「1つ聞いていいか?」
『すぐ終わるなら』
「…どうして俺に付き合ってくれた?」
『どうしてって…』
どんな答えが来るのだろう。楽しみでもあり、不安でもあった。の目に俺はどんなふうに写っているのだろう。
『だって黒尾先輩、イライラしてたじゃないですか。それでバカみたいにサーブに当てつけてたら、ボールが可哀想です。それに、少し元気なかったし』
思わず息を飲んだ。元気、無かったのか。けど、それとラリーとはあまり関係ない気がする。
『もう大丈夫そうですね。黒尾先輩のあのニヤニヤ顔はむかつくけど、そんなショボくれモードな黒尾先輩はもっとムカつきます。ていうか似合いません』
ほら、ボール拾ってくださいというを、思わず抱きしめた。
『!?ちょ、何ですか!?』
「…サンキュ」
『…はぁ。大人しい黒尾先輩もムカつきます』
(そう言いながらも彼女はゆっくりと頭を撫でてくれた)