第4章 非日常、再び
むしゃくしゃしながら体育館に向かい、倉庫を開けボールを取り出す。同時にシューズも持って来て制服のままお構いなしにサーブを打った。
一体何本目だろう。
打ったサーブは地面に落ちる事なく、誰かによって遮られた。
『ーっつ〜〜〜!!!』
「……?」
『よくこんな痛いボール、普通に上げますよね』
そこにいたのは俺が今1番会いたかった
だった。
「どうしてここに…」
『いや、それあたしの台詞ですけど。まだ授業中ですよ?何やってるんですか不良ですか』
「それならだって…」
『あたしは先生に頼まれてストップウォッチを返しに来ただけです』
そう言えばはポケットからストップウォッチを取り出し、準備室へと向かった。
何やってんだ俺は…こいつに会いたかったんだろ?せっかく会えたんだ、何か話かけろよ…
けど、何を?
俺はに会って何を話そうとした?どうしたいと思った?
「いって…」
下を向いていた俺の頭に、飛んできたバレーボールがぶつかる。スピードのないそのボールはあまり痛くないはずなのに、まるで鈍器で殴られたような痛さを感じた。
『パス練くらいなら付き合いますよ。昔、教えてもらいましたから』
(無心でやっていたはずなのに、次第に楽しくなってきた)