第4章 非日常、再び
-黒尾-
俺の横を通り過ぎるの手を
俺は無意識のうちに掴んでいた。
『…何ですか』
「あ、いや…やっぱ納得いかねぇ」
『どうしてですか。そもそもあたしと黒尾先輩はこの前会ったばかりでしょう。研磨の事はともかく、あたし達が関わりを持つ必要はないはずです』
確かにの言う通りだ。研磨の友達だからと言え、俺とコイツが仲良くなる必要はねぇ。それなのに、どうして俺はコイツの腕を掴んだ?どうして引き留めた?
「お前、マネージャーやらねぇか?」
『…は?』
理由は簡単だった。あの研磨が懐く女、ただ最初はそれだけの興味でしかなかった。
だけど俺はを見たあの時から、なぜか別の興味も持ってしまったのだ。
これが好きとかそういう感情なのかはまだ分からねえ。
それでも、に敬語を使われたり、黒尾先輩なんて呼ばれたりするのが嫌だった。
距離を置かれるのが嫌だった。
「俺達のマネージャーになってくれ」
(お前は何も悪くない)
(これは俺の我が儘)