第4章 非日常、再び
「オイ、大丈夫か?」
『あ、うん…平気』
「…隠してもタメにはなんねーぞ?」
『本当に大丈夫だから」
「…あっそ。ほら、立てよ」
の前に手を差し伸べるも、こいつは俺の手を取らず自力で立った。人がせっかく好意で差し出した手を…
「で、何でお前がバレーボールなんか持ってんだ?おまけにジャンプサーブまでして。ま、失敗してたけど」
『…ごめんなさい』
「別に怒ってねえよ。研磨に戻しとけって頼まれたか?」
『ううん。中庭に落ちてたから拾った。もうすぐ雨降るから、濡れちゃダメだって思って』
「落ちてた?ったく、やっぱ昨日俺が飛ばしたやつ、外に出てたのか…悪いな、サンキュ」
は首をフルフルと横に振ると、スカートに着いた埃を落とそうとパタパタと叩いた。
「で、何でジャンプサーブ?お前経験者だったわけ?」
『バレー部には所属してたけど、プレイヤーじゃなくてマネージャー。何回も見てたから覚えてたの』
「ふーん…」
成功不成功はさておき、こいつのフォームはめちゃくちゃ綺麗だった。あれだけ綺麗なフォームが出せる学校なら、多分強いはずだ。だがあんな綺麗なジャンプサーブ、見てたら忘れないはずだが…
「…お前、どこの中学出身?」
『…言っても知らないと思う。あたし、中学までは宮城にいたから』
宮城…確かに猫又監督が言ってたゴミ捨て場の決戦の相手は宮城だったよな…?まあ、高校からこっちにいるなら、さすがに知らねえか。
それよりも気になる事が1つ。
「それで、何にそんなに驚いてるんだ?」
(その瞳は俺を捉えることなく、ただ宙を見つめていた)