第3章 それは友人とは言い難いもので
―黒尾―
『わっ、すいません!研磨の友達だからてっきり同級生かと思って…いや、思いまして!!!』
「気にすんな。つーか敬語もいらねえよ。堅苦しいの嫌いなんだ」
『でも…』
「クロがこう言ってるんだから、気にしなくていいよ」
研磨が言うと、それじゃあ…と言って納得したようだ。そんなの様子を俺はいつものニヤニヤ顔でじっと見つめる。
『…な、何よ』
「別にー?ただ、研磨とどういう会話するのか気になって」
「クロには関係ないよ。もう教室戻りなよ」
「んだよ、俺だけ仲間外れにすんなよ。研磨の友達は俺の友達だろ?」
『え、あたしあなたと友達なの?』
「ははっ、ひでー」
そりゃそうか。なんか知らねえが俺、さっきから物凄く警戒されてるしな。
『…あなた、何しに来たの?』
「んー?あなたって誰の事かなぁー?」
『…あなたよ』
「だから、誰?」
これはわざとだ。なんつーか、どうしてもクロ君って呼ばれたのが忘れられなくて、ついついニヤニヤしながら見ちまう。
『…黒尾先輩』
「違うだろ?」
『…研磨、本当にこの人と友達なの?』
「え、うん…」
『…純粋な研磨とは大違い、大層な腹黒ね』
自分でもこの性格は理解していた。そしての言う事を肯定しようとは思わねぇけど、俺は確かに研磨みたく純粋じゃねぇ。
「で、何だっけ?」
『…クロ先輩』
「惜しい」
『~~~っ…クロ君』
「よく出来ました」
俺はの頭をくしゃくしゃと撫でる。髪を乱されたは抵抗してきたけど、それさえも面白かった。真正面にいる研磨がジッと見ている事にも気付かないくらいに、俺は撫で続けた。
(やっぱあなたはアイツとは違うタイプのウザさね!)
(オイオイ、先輩に向かってウザいはダメだろう。つーかアイツって誰だ?)
(あの超お調子者の…ああああ!!!思い出しただけでムカつくううううう!!!!)
(…、うるさい)
(ご、ごめんなさい)
(ブヒャヒャヒャっ!)