第3章 それは友人とは言い難いもので
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『もう帰ったら?授業始まるよ』
「ん。じゃーな、研磨」
「…うん」
…何よ、散々からかっておいてあたしには挨拶も無し!?お調子者先輩と違って、この人には礼儀もないの!?
「もじゃーな。研磨の事、よろしくな」
クロ君はあたしの頭をまたくしゃくしゃと撫でて歩いて行った。あたしはバッと乱れた髪を手櫛で直す。そして研磨に向かう。
『何あの人!何しに来たの!?』
「…多分、を見に来たんだと思うよ」
『…あたし?』
「…俺、昔から友達はクロしかいなかったから。クロもきっと俺を心配してて、友達が出来たって聞いて嬉しくなったんだと思う」
『…ふーん』
研磨を心配して、ねぇ。研磨がこうだからクロ君の気持ちも分かるけど。…分かるけども。
ただ、あたしがからかわれただけのような…
いやいや、研磨の友達を悪く言うのはダメだよね。…あれ?あの人、あたしの事も友達だって言ってなかった?
だけど
それは友人とは言い難いもので
クロ君の意図もまだまだ分からないままだった。
(友達の友達は友達…?)