第3章 それは友人とは言い難いもので
―-
いきなり現れたその大男は、初めて見る人だったけどどこか懐かしさを感じた。その上
「キミが研磨のお友達?」
なんて聞いてくるものだから、加えて謎が深まった。研磨の知り合いなんだろうか。
「ちょっとクロ、何しにきたの」
「何って、お前の友達を見に来たんだよ。挨拶しとかなきゃダメだろ?」
「いらないから、そんなの。…、戻ってた方がいいよ」
『あ、うん…』
「ちょ、それじゃ俺がここまで来た意味がなくなるダロー?」
クロ?君は研磨の前の席の椅子を引き、そこに座る。ニヤニヤしながらあたしを見てくる。何だっけ、この感じ…数年前に経験したような気がしたんだけど…
「俺、黒尾鉄郎。クロでいーぜ」
『あ、 です』
「ね。で、は研磨の友達なわけ?」
『あ、うん。昨日からだけど』
「だろうね。昨日研磨がすっげー嬉しそうに部活やってたから」
「ちょっとクロ、適当な事言わないでよ」
『クロ君は研磨と同じバレー部なの?』
「そ。一応俺主将」
『主将!?2年で主将になれるんだ!凄いね!』
「…何言ってるの、」
その間もクロ君はニヤニヤしながらあたしを見ている。
あ、思い出した、この感じ。
「クロは3年だよ」
『…えぇっ!?』
「よろしくね、ちゃん」
この感じ、中学生の頃に嫌というほど味わった。
あの超お調子者の先輩にそっくりだ。
(!?)
(?どうした?)
(岩ちゃん!俺風邪引いたかもしれない!今凄い悪寒したよ!)
(おー、そうかー。よしっ)
(岩ちゃん!?)