第7章 好敵手(ライバル)
『キミとキミ!ここに座りなさい』
田中「は?俺?」
『そう、キミたち』
月島「何で僕が他校のマネージャーの言う事なんて聞かなきゃ…」
『座れ』
ひっさしぶりにイラッときたわ。昔、一度だけ徹にキレた事あるんだよねー。その時飛雄ちゃんもいたっけ。
あ、顔青くしてる。思い出しちゃったかな。
『笑った事は文句言わない。確かにあれはあたしのミスだし、それくらい下手だったからね。だけど、それで今関係ない日向君を笑うのも、飛雄とあたしの関係を否定するのも、間違ってると思う。だから、日向君と飛雄に謝りなさい』
月島「…何で僕が。それに、ボールをぶつけたのは日向でしょ。日向がぶつけなければこんな事は起きなかったんじゃないですか」
『そうかもしれないけど、日向君はすぐに謝ってくれたし、コートの中では選手優先。責める気は無いよ。だけど、その日向君はキミのチームメイトでしょう』
田中「…悪かった。日向も影山も、すまん」
『うん。で、キミは?』
月島「…すみませんでした」
あたしは少しだけ笑った。隣にはクロ君がいて、いつものように頭を撫でてくれる。
だけど
『クロ君、烏野の皆さんに謝って』
「え」
『主将であるクロ君が喧嘩売ってどうすんの。夜久ちゃん先輩の方がよっぽど主将らしかったよ』
「…すんませんでした」
『飛雄ちゃんも。今はチームメイトを助ける事だけ優先してね?』
影山「…」
しっかり烏野の皆さんに深々と謝罪をし、主将である澤村さんに特に頭を下げた。
『先程はすみませんでした』
繋心「いや、俺らの方こそ悪かった。ああいう時俺達大人が止めなきゃいけねぇのに…」
武田「でも、さんのおかげでチームとしての自覚が皆持てたと思います。あなたの言葉には、力がありますね」
『そんな…これはあたしのエゴなんです』
武田「エゴ、と言いますと?」
『飛雄は…影山飛雄という圧倒的な天才は、高みを望むばかりにチームから浮いてしまいました。これは言い訳にしかなりませんが、卒業して宮城を離れてしまったあたしには、何も出来なかった。だからこそ、このチームでは飛雄に真のチームを作ってほしいんです』
(ちゃん)
(猫又監督…すみませんでした)
(自分の信念だ、思う存分貫き通しなさい)