第1章 【amore】
不意に悲しくなった
他の女性ならこんな事されても動揺なんかせず
セクシーな会話が出来るんだろう
からかいだろうが本気だろうが、
外人は返しがまるでドラマのように画になる
その反面私は思い切り日本人丸出しな反応
真っ赤になって気の利いた一言も返せない
女慣れしてるディーノに軽くからかわれてる
そんな自分に悲しくなった
視線を下に落としたのは恥ずかしさとは違うと気付いたディーノ
「俯くなよ。可愛い顔が見えないぜ。」
きっと今情けない顔をしてるだろう
そんな表情でかっこよくて自信に溢れるディーノを
見る余裕などなかった
「他の女はこんな可愛い反応なんて見せないぜ。俺はそこが好きなんだよ。」
ほら、また言い慣れてそうなセリフを簡単に口に出来る
「NESTの気の強い女のようになられちゃ困るが…
もっと自分を好きになっても良んじゃねぇの」
「ディーノにはわからないよ。強くて、かっこよくて、女にモテるディーノには」
拗ねたように俯いたままの
「そんなに自分が嫌いか?」
顎をつかみクイッと上に顔をあげさせる
「嫌いで何が悪いの?」
やっぱりディーノに私の気持ちなんてわかるわけがない
「例えでも俺が惚れた女を嫌いだなんて言うのは許せねぇな」
「またそんな冗談…」
あきれたようにディーノを見るが
その表情はさっきの不適な笑みとは違い真剣な顔つきだった
少し怒っているような顔つきにも見えた
「ちょっと、今日ほんとに私の事からかいすぎ…」
戦闘以外で真剣な顔つきは見たことない
ましてやその表情が自分に向けられてるとなると
思わず少し顔がひきつった