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フルーツポンチ【Mr.FULLSWING!!】

第4章 1つで5桁のメロン 後


嬉しくて、恥ずかしくて、身悶えしそうだった。
でも今はとにかく、ありのままを伝えたい。
「実はあたし、さっき最低な事考えてた。」
「え?」
少し口が乾く。でもどうにか言葉を続ける。
「あたしは今まで牛尾の事を、何を考えてるか分かんない、信用のならない奴だって思ってたの。」
牛尾の手がぴくりと動いた。
「でもあたしは牛尾の事を好きでもないのに、体の関係を持っておけば牛尾財閥を味方に出来るかも、なんて考えてた。」
神妙な顔つきで唇を噛む牛尾。
「幻滅したよね・・・だからこんなクズは止めといた方がいいよ。」
自分が蒔いた種なのに、黙っていれば何も分からなかった事なのに、自分で言って何だか泣きそうだった。
あたしが失恋するわけじゃないのに、どうして泣きそうになってるんだろう?


牛尾はごろりと仰向けになり天井を見上げた。
「僕が思う土井さんの魅力の1つはね、天真爛漫だと思うんだ。」
「天真爛漫!?どこがよ!?」
突然のお花畑が広がりそうな言葉で、あたしの目から涙が引っ込む。
「うーんとね、僕って親の仕事のせいなのか、周りが僕に凄く気を遣ってるのを感じるんだよね。」
「あー・・・まぁ・・・。」
仕方ないというか、やっぱり特別扱いはしちゃうよね。
「でも土井さんは全然気にしない。距離を置かない。冗談に乗ってくれるし、クッションで殴り掛かってくれもする。」
「ひぎゃあああ!それは酔っ払って!あのっ、すいませんでした!」
「あははっ、いいんだよ。僕は君のそういう無邪気なところも好きなんだ。」
粗相を後悔するあたしを宥めるように、牛尾がそっと腕を撫でてくれる。
「でもやっぱり土井さんでも家柄を気にしちゃうんだね。土井さんは何も気にしないだろうなんて、僕は自分勝手な理想を土井さんに押し付けてたのかもしれない。」
牛尾が少し寂しそうな微笑みを浮かべる。
「いや、階級のコンプレックスを土井さんに感じさせて、体を投げ出すなんて無茶をさせた僕が悪かったんだ。」
すまなかった。
そう言って牛尾は頭を下げた。
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