第4章 1つで5桁のメロン 後
あたしはというと、ドキドキしてるやら、牛尾の寝顔が可愛いやらで到底寝付けそうに無かった。
「寝付きがいいのも才能ね。いいなぁ。」
いびき1つかかず、スースーと規則的な寝息。長い睫毛がぴくぴくと揺れる。本当に綺麗な寝顔だ。
触れる体が熱い。牛尾は体温が高いんだろうか?生きてるんだなって感じるぐらい、すごく熱を持っていた。
寝顔を眺めながらあの日を思い返す。そういえば「かっこ悪いところも見せ合えるといいね。」なんて考えていたっけ?
でも牛尾が好意を明言しなかったから、あたしは牛尾を信用出来なくなって。
あの日のゴタゴタとか、日頃の忙しさが相まって、あたし達は今日まで距離を置いてすれ違ってしまった。
「今度こそ逃げずに分かり合えたらいいね。」
ぽつりと呟いて、その綺麗な額にキスを落とす。セックスしようと唇にキスしたのはあたしのくせに、こっちの方が断然ドキドキした。
あたしも寝よう。そして朝起きてあの日と同じ質問をしてみよう。
「あたしの事、本当に好きなの?」
どんな顔するだろう。照れる?見栄を張る?さらっと「そうだよ。」なんて言っちゃう?あぁ、分かんないけど。
とにかく肯定してくれたら、ご褒美におはようのキスをしてあげよう。
あぁでも、牛尾の事だし舌を入れて来るだろうから、歯磨きしてからかな?
「そんなんじゃないよ?なんて明日言ったら、どんなに謝っても絶対家に入れないからね?」
結局あたしは牛尾御門という人間と、振り回し振り回される関係になろうとしているらしい。