第4章 1つで5桁のメロン 後
「でもでも、牛尾があたしなんかを好きになるなんて思えなかったもん!」
牛尾に詰め寄るように訴えた。牛尾の顔が少し曇る。
「だってあたし・・・留年するようなクズだし、根暗だし、我侭だし、大体牛尾とは階級が違うし・・・。」
言ってて虚しくなって来て、牛尾の腕を外して、背を向けるように寝返りを打った。
「あたしなんて止めときなよ。」
自然と拒否の言葉が口を突いて出た。
あたしの血迷った汚い計画なんて、もう闇の向こうに葬り去られていた。
これだけ面倒で意固地なあたしなんて放っといて、もっと素敵な人と幸せに・・・。
「何回でも言うよ。土井さんは本当に素敵な人なんだ。」
背後からぎゅっと、今度は力強く抱きしめられた。
抱きしめられた肩や腕が熱くなる。背中も熱い。顔も熱い。
「あ・・・あたしのどこが良いって言うの?」
喉も熱く焼けたのかと思った。声が上手く出ない。
「うーん・・・正直言うと、なんで土井さんに惹かれたのか、はっきりとはよく分からないんだ。」
「何それ!やっぱり気の迷いじゃない!?」
「そんな事無いよ。話してて楽しいし、振る舞いは可愛いし、何より居心地がよくて安心出来るんだよね。」
牛尾があたしのうなじに顔を埋めるように擦り寄った。
「優しくて暖かくて、つい甘えてしまう。心が安らいで、明日からも頑張ろうって元気をもらえるんだ。」
熱は心臓にまで到達した。
「だから僕もお返しじゃないけど、土井さんが自分を大切に思うまで、僕がずーっと大切にしてあげたいんだ。」
知りたくてたまらなかった牛尾の気持ちは、こんなにも熱に満ちていた。
言われてる事はあの日と変わらないのにこんなにも熱を感じるのは、きっとあたしが牛尾の言葉を本当の気持ちだと信じられるから。
「た、大切にしたいって言った割に、なんだかんだ誘惑に負けて抱こうとしたわよねー!?」
「それは本当に失礼な事をしたなって反省してるよ。・・・あっ、体も魅力的だったよ。」
別の意味で顔が熱くなるなんて!馬鹿!