第4章 1つで5桁のメロン 後
「ねぇ?」
あたしの呼びかけに牛尾の顔がこっちを見上げる。その距離15センチ。
「・・・キス、してもいい?」
あたしの中ではなんとなく「セックスする時はまずキスするもんだ」という概念がある。というか多分大概の人はそうだろう。
でも牛尾は体だけの関係に了承しても、キスは好きな人じゃないと嫌だ、なんてタイプかもしれない。特に牛尾は潔癖っぽいし。
一応は了承を取らねば、と思って聞いたのに。
「んー?あぁ、いいよ?」
笑ってかるーい調子で答えられてしまって肩すかし。ムードなんてこれっぽっちも無い。キスしていいよ、なんて言われてもときめきなんてどこにも無かった。
本当にどうしたんだろう?今日の牛尾は全体的におかしい。いや、こんな風に追い込んでしまってるのはあたしなんだけど。
それでもとりあえず、キスしようと顔を近づけた。
牛尾の顔が近い。目が閉じられた。キスしてしまうんだ、と今更ながらに実感。
よく考えたらとんでもなくドキドキしてしまう状況。でも尻込みしてはいけない。もう止められないんだから。
触れる・・・触れてしまう!あの牛尾と唇が!触れてしまう!
完璧な牛尾様の唇は、こちらも完璧という程に柔らかかった。
すぐさま離れた。