第4章 1つで5桁のメロン 後
牛尾があたしににじり寄った。
「えーっ、と・・・本当にいいの?」
心配するような発言なのに、まだ妙に明るい口調。
どうやら牛尾は緊張するとおちゃらけてしまうタイプらしい。
いつも飄々と余裕ぶっている牛尾が追い詰められていると思うと、途端に何だかどうでも良くなってきた。
そうだ。罪悪感とか、プライドとか、そんなもの感じる必要なんてない。
ここまで来たらクズはクズらしく、自分も牛尾も欺きましょう。
「いくらでもいいよ?」
何だか童貞を弄ぶ悪女の気分になってきて、あたしは落ち着いて挑発を繰り返す。
お酒の勢いでやってしまった一夜の過ち。悪くないじゃない。
素晴らしい経歴を持つあなたの歴史にあたしという傷をつけられるなら、こんな安い体、いくらでも差し出すわよ?
「牛尾の望むがままに。」
あたしみたいなゴミに対して遠慮なんていらない。何だったらレイプでも何でもしてちょうだい。あたしは人に踏みにじられて当然だもの。
牛尾は笑っているような照れているような、悩んでいるような戸惑っているような、何とも形容しがたい表情で固まっていた。
そりゃあいくら了承を得られたって、がっつり押し倒せるような奴じゃないわよね。紳士ですもの。
何より牛尾は女性経験が無いはずだ。どうしていいか分からないんだろう。
もしかしたら理性と本能が戦っているのかもしれない。付き合っても無い人とそんな事は出来ないだろうと。
・・・でも牛尾さん?いくら紳士ぶったって、失礼ながら股間が膨らんでいらっしゃいますわよ?