第1章 一山いくらの林檎 前
そんなわけで「土井さんの誕生日をお祝いしに、どこかご飯でも行こうか。」と言われた時は正直焦った。
だってあのボンボンよ?どんなお店か分かったもんじゃない!ホテルの最上階のレストランとか言われたらどうするのよ!
ドレスなんて持って無いからね!って言ったら、あの野郎さらっと
「僕は大学近くのバーにでも行こうかと思ってたんだけど。」
なーんて、普通の大学生がちょっと頑張ったぐらいのお祝いを提案されて、またあたしは勝手な妄想をして恥ずかしい思いをしたってわけ。
やっぱりあたしのことなんてただの友達としか思ってないのかしら?
いやむしろ、その方がお互いのために好都合なんだけど。
で、遅ればせながらの誕生日会当日。
普通に集合して、ご飯して、お酒もしこたま飲んで。
そろそろお開きかと言う頃に出てきたのが例のプレゼント。
まさかプレゼントなんてあると思ってなかった。ご飯がお祝いなんだと思ってた。
不覚にも・・・馬鹿みたいに素直に喜んだ。
一瞬「とんでもない高級品とか出てこないでしょうね!?」って冷や汗かいたけど、出てきたのは普通のプレゼントで。
あ、よかった。お返しも何とかなりそうだ。
まぁ3000円ぐらいだろうプレゼントをいただき、あたしは何事も無く牛尾にアパートまで送っていただき帰宅した。