第3章 1つで5桁のメロン 前
牛尾はトントンッとテーブルを指で叩いた。見ると何だか楽しそうな様子。
「土井さんの家に行ってみたいな。」
「えぇっ!?あんた何言ってんの!?」
びっくりして、いや八つ当たりで、思わずテーブルを牛尾の頭上にひっくり返そうかと思った。
「いつでもいいよ?いつかお伺いしたい。」
「えー・・・?」
過去に類を見ないぐらい嫌悪感をあらわにしたあたしに対し、牛尾はおかしそうにくすくす笑った。
・・・あたしの家に行ってみたい、だってぇー?
「こんなモデルルームを見せつけられた後に、あたしの家を大公開?」
「モデルルームじゃないよ。ちゃんと僕が住んでる。」
「寝泊まりだけのくせに。どうせ実家も大豪邸なんでしょ?」
「あぁ、まぁ・・・平均的な家と比べたらそうらしいね。」
「それほどですよーみたいな謙遜するな!」
あたしは知ってるぞ!ネットに牛尾邸の写真が乗ってた!とんでもない大豪邸だった!ホワイトハウスだった!そんな価値観を持っている奴にあたしの家は見せたく無い!
もうこれ以上、あたしのクズさをあなたの素晴らしさによって見せつけないでください!
「いいじゃないか。床の隅を指でなぞって埃をフーッてしたりしないからさ。」
「あ、絶対入れてやんない。」
「冗談だよ。」
今日の牛尾の様子は何だかおかしい。