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フルーツポンチ【Mr.FULLSWING!!】

第3章 1つで5桁のメロン 前


「あたしの部屋、すっごく汚いよ?」
服はポイッ、鞄もポイッ。出したものは片付けない。使った食器も次に使う機会があるまで洗わない。
捨てられない性格だから物が溜まるばっかり。ごくたまに思い立ったようにする大掃除で思い切り捨てるタイプだ。
「荷物をまたいで歩かなきゃいけないぐらい散らかってる。」
「冗談だろう?」
非難のようにも聞こえるその言葉。でも牛尾の顔は笑っていた。
本当に冗談と思っているというよりは、まぁそんな事もあるよね、みたいな表情。
・・・でも牛尾の想像上の「散らかっている」と、あたしの実際の「散らかっている」は、天と地ほど違う気がしますよ?

そんなあたしの思いを知ってか知らずか、牛尾は楽しそうに想像を膨らませる。
「土井さんはオシャレだから、部屋もきっとオシャレだと見た。」
いたずらっ子のような顔で喋る牛尾。さっきからそのいじりは何なの?
「オシャレねぇ・・・。写真を飾ったりしてるようなタイプじゃないかな。」
牛尾の部屋に比べたら物が多いと思うけど、そういうデコレーションの類いは一切していない。
棚とか、化粧品とか、文具とか、どこの家にでもありそうなものが溢れかえっている。
「我が家は生活感丸出しなタイプだと思う。」
綺麗な箱に隠したりとか、オシャレにディスプレイしてみたりとか、そんな女子力は持ち合わせていない。
よく使うものは出しやすく機能的に。お金がない中で実用性しか考慮しなかった結果、部屋にはシンプルな100均収納がずらーり。
・・・考えれば考える程、あたしって可愛げもスマートさも無いのね。やっぱりクズだ。


そんな夢の無い話をしても、牛尾にとっては面白い話題なようで。
「いいじゃないか、生活感。かしこまった所よりよっぽどリラックス出来そうだ。」
信じきったようなピュアな瞳でこちらを見てきて、あたしは落ち着けなくなって視線を逸らした。
生活感だなんてそんな。あんまり良い物じゃないわよ。恥ずかしい。
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