• テキストサイズ

フルーツポンチ【Mr.FULLSWING!!】

第3章 1つで5桁のメロン 前


からんからん。
軽やかなベルの音で入り口を見ると、いかにもカフェなんかが好きそうな女の子4人組がやってきた。
小さい店舗に空いてる席は無い。店員さんがこっちをチラ見した。
「混んで来たね。そろそろ行こうか。」
上着を持って牛尾が立ち上がる。あたしも慌てて帰り支度をした。

「会計はまとめてやっておくよ。」
「じゃあ後で払うね。」
入り口隣のレジ周りは人が密集していたから、あたしは一足先に店舗から出る事にした。
通りすがりざま、入って来た女の子達が牛尾をチラチラ見ているのが分かった。
「あの人かっこいい!」
「知らないの!?牛尾さんだよ!」
どうやら同じ大学の後輩らしい。分かりやすく色めき立っている。小声でも騒がしく感じた。
どうにか女の子をかき分けてお店から出る。ガラス張りの扉は閉めても中が丸見えで、声が聞こえなくても女の子達は見ているだけでうるさかった。


会計を終えた牛尾がお店を出ようと振り返った。
「・・・あ、絡まれた。」
女の子が牛尾に群がる。牛尾は驚いた様子で、でもすぐいつもの人当たりのいい笑顔になった。女の子達は嬉しそうに話し込んだり、携帯を取り出したりしていた。

頭では分かっていたはずなのに、こうやって実際にちやほやされてる牛尾は何だか新鮮で、驚きさえあるわね。
最初の出会いが男だらけの集団だったから、個人的に会うのも2人でだったから、こうやって女の子に囲まれている牛尾を見るのは初めてだった。
そうか、あれが女の子のするべき「牛尾への正しい評価」なんだ。
・・・あれを見て「あの子達若いなぁ・・・。」なんて思う自分は、もうすっかり枯れちゃってるのかしらね?
/ 72ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp