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フルーツポンチ【Mr.FULLSWING!!】

第3章 1つで5桁のメロン 前


牛尾御門。頭脳明晰、容姿端麗、聖人君子ととにかく完璧な奴。
ちなみに最近アメリカの学会に日本代表として研究発表してきて、最年少で最優秀賞を貰ってきたらしい。ここまで来ると逆に馬鹿じゃないのか?
そんな彼とあたしはとあるプロジェクトで知り合い、プロジェクトが終わってからも親交のある友人同士だ。

実は牛尾と会うのは、前回会ってから約半年振りだったりする。
・・・そりゃあ会い辛いわよ。「あたしを抱く?」なんて言っちゃったんだから。




泊まった日の翌朝、酔いや眠気などすっかり抜けて爽やかに起床した牛尾に聞いてみた。
「牛尾ってさ・・・結局、あたしの事が好き、なの?」
あたしの勘違いだったらどうしようと、すごく、すごく勇気を出して聞いてみた。
「別にそういうのじゃないよ?」
牛尾はどこか冷たささえ感じるような顔で平然と言いのけた。

それからあたしは、牛尾が何を考え、何をもって行動しているのか分からなくなった。

その笑顔も、褒め言葉も、完璧な立ち振る舞いも。
あの時の弱音もあたしへの甘えも、もしかしたらあったかもしれない下心も。
牛尾の全てが、まるで意味を持たないからっぽな空虚のように感じられて仕方ないんだ。
あたしが感じていた牛尾からあたしへのある程度の好意も、もしかしたら虚飾に塗り固められた嫌悪だったのかもしれない。
あの日言ってくれた「大切にするよ」って言葉も、酔って眠い頭で適当に言った事だったわけだ。
牛尾が分からない。答えが無いんじゃ信じられない。それがあたしから牛尾への不信感。

だからあたしは牛尾と距離を置いた。
牛尾と過ごして来た時間が、全て無意味な事のように感じられたから。
何より、勝手に好意を期待して勝手に裏切られた気分になっている、身分をわきまえて無い自分が許せなかった。
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