第3章 戦利品との過去はないが
「にしてもちゃんまでいるなんてねぇ、俺様ビックリ」
「なんだ、アンタも知ってんのか?の事。」
「そりゃあしってるよ」
「…そうか」
猿飛が言うには、この世界に前世の記憶を持った奴はあの戦乱を生きてきた奴らだけらしい。
真田にも記憶はあるし、独眼竜も別の地域にいるらしいが記憶を持っているらしい。いつか話してぇな…。
「っつーか、真田が社長とはな!」
「前世とは違ってなんだか知将っぽくなってるよ」
暑苦しくない真田はなんだか気持ち悪く見えたが、きっとあの戦乱の世でも暑苦しさがなかったら現世で生きている真田みたいに知将っぽく生きていたんだろうな。
「鬼の旦那はとまた結ばれたいんじゃないの?」
「まぁな、…だから、この記憶を持って生きているんだ」
「できるだけ協力はしてあげるよ、変な道は辿りたくないでしょ?」
「あぁ…今更だが、ありゃァ…歪み過ぎてたな」
猿飛は俺に缶コーヒーを渡して仕事に戻って行った。
一体神は俺達に何を望んでるのか、さっぱりわからない。だが俺は俺のやりたいことをやりてェんだ。
幸せになるために、いや、俺だけじゃない。
俺がこの手で殺めてしまった奴ら、犠牲にしてきた野郎共、俺自身、そしてなにより、前世で辛い思いをさせてきてしまったを、幸せにしなきゃならねェんだ。
きっとこれは俺がこの世に生を受けた運命でもある。
「…初日からさぼっちまったな…」
その後部署に戻ると新入社員の奴らは心配した顔で俺に菓子を大量に持ってきやがった。