第11章 戦利品。
「まだ毛利が好きか?」
もし好きなら、と言葉を進めようとするとは俺に黙って抱き付いてきた。それに驚いて俺は何も言えなくなった。
「…そりゃあ、昔なら、今すぐにでも元就様のところへ走って行ったわ」
だろうな、なんせ俺はアンタの元夫を殺して、大切なヒトの命を奪って、そして、アンタまでも手にかけたんだ。
怖くて怖くてたまらないのは俺じゃない、のはずだ。
「生まれ変わって、あなたの優しさに触れて、共に笑って、面白い時を過ごせてきたわ」
「…」
「元就様は、大切な大切な友人。元親は、大切な大切な、…大切な家族よ」
あぁ…そうか、俺は愛されていたのか
「不安だったんだ、またアンタが毛利んとこにいくんじゃねぇかって」
「何を言っているの、今は元親のものよ」
「だよ、な」
抱き返すとはくすぐったそうに笑った。
俺は本当に幸せモンだよ
毛利には悪いが、っていう宝は俺を選んでくれたんだ。大切にさせてもらうぜ。
そして、絶対に誰よりも幸せにしてみせるから、見てろよ。
「ありがとな、」
「な、なによ」
「俺を、選んでくれて。怖かったろ」
「…私を誰だと思っているのよ」
「長曾我部様、だろ?」
は泣いていやがった。温かい涙だ。
「式前に泣くなって、不細工になんぞ?」
「るっさいわね…」
俺達の式なんだ、最高のテンションで、最高の幸せを育めるような式にしてやろうじゃねぇか。
なぁ、。
アンタは今幸せか?
俺は…ハ、愚問だろうが。
最高に、幸せだぜ?