第11章 戦利品。
気が付いたら俺は家で寝ていた。
もしかして、これは全部夢だったんじゃないかというくらい、体は軽くてスッキリしていて。
「…本当に、夢だったんじゃねぇか?」
そうだ。昔あんなにも嫌っていた俺を心から好きになるなんざ、そんなの冗談でもいう訳がない。俺の作り出した幻想だったんだな、きっと。
「雪が、積もってやがる」
そう言えば雪が降っていたんだな。小降りだと思っていたんだが途中から結構降りだしたんだな。
頭をかいてコーヒーを淹れる。俺には苦いくらいがちょうどいいんだ。
その苦さが今は夢を見ているわけじゃないってことを教えてくれる。
窓の外は真っ白だ、まだ誰も踏んでいない真っ白の景色だ。
「…?」
玄関の近くに畳んであるコートは少し湿っぽかった。雨でぬれたか?いや、何かを零した後かもしれねぇ。
「は、どうしてるんだ」
あれが夢だとすれば、はまだ病院で一人ぼっちで泣いているかもしれない。だったら俺は、俺は話したい。もしかしたらアレが正夢になるかもしれない。だったら俺は今すぐにでも駆けて病室に向かいたい。
「、今行く」
暖房をきって電気も消す。
家の鍵とバイクの鍵を握りしめて玄関へ向かった。
「どこにいくの?」
「ッ?!」
振り向くと、そこには不安げな顔で一室からこちらを覗くがいた。
「…は、え?」
「買い物?」
「や、…いや、」
なんでここにいるんだ、そう言いたかったが口が動かなかった。