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戦利品は己の手で:続

第10章 戦利品と毛利と俺



…コイツ、何を言っているんだ?
が愛した、心から愛した奴を受け入れない筈がないだろ

「毛利、アンタ、何言って」

「…これは想定外だ。まさかあのが我を受け入れぬとはな」

その顔は嘘を言っているような顔じゃなかった。毛利もこの現状を受け入れきれてないような顔だった。

「は、なんで」

「好いておる者がいる、そう言っていた」

表情を滅多に動かさない毛利が、ここまで動揺するなんて俺は今まで見たことがなかった。いつも上から見下して、強くあったじゃねぇか。そんなアンタが、毛利が、女一人にここまで惑わされるなんて、相当惚れ込んでたんじゃねぇか…

「それ、誰だよ」

「聞けばよかろう、に…いや、あれは我の知るではないな」

自嘲気味に毛利は笑うと屋上から出て行った。俺はただその寂しそうな毛利の後ろ姿が珍しくて、声をかけたかったけど俺はそんな言葉など知ってるわけでもなくて、ただ見つめて握り拳を解く事しかできなかった。
俺は、なんて無力なんだろうか。

「は俺も拒絶するんだか…不安だな」

行ってみなきゃわかんねぇ。言ってみなきゃわかんねぇ。
そんなこたァ俺が一番よくわかっているし、行動にでなきゃ相手にだって伝わるわけがない。アンタに受け入れてほしいなんて。
だが、だがな、過去でみたあのひどく俺を刺し殺すような冷たい目線が再び俺を射抜くんじゃねぇかって正直の所に行きたくないってのは本心だ。
もしそうなったら今度こそ俺は立ち直れる気がしない。

「そん時は、そん時だよな…」

俺自身に何度も何度も言い聞かせて、何度も何度も深呼吸をする。
俺は、俺自身の言葉をに伝えなきゃなんねぇ。じゃなきゃ俺はこの先一生後悔するだろう。

「っし…一発かましてくるかァ!」

喧嘩に行くわけじゃァねぇが、俺は自分を奮い立たせた。





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