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戦利品は己の手で:続

第9章 戦利品の✘✘が戻る



「……まさか、アンタ…思い出して…」

の腕をぎゅっと掴む。するとは思い切り俺の手を振り払った。そして怒りに満ちた目で俺を見上げる。

「よくあなたなどが私に触れられたものね。その手で私を殺したくせに」

「あれは…っ」

「いいわけなど不要よ、さっさと出て行って頂戴」

そう言って最後、は俺に何も言わなくなった。
俺もこれ以上ここにいても無駄だと思い、じゃあな、と漏らして病室を出た。
俺、聞いてねぇぞ、が記憶を宿したなんて聞いてねぇ。俺は知らなかった。いつ思い出したんだ?きっと混乱していたことだろう。その時傍にいたのは誰だったんだ?俺以外の誰が傍にいたんだ?
まさか、まさかとはおもうが、まさか、毛利か?また毛利とが結ばれるってことか?ふざけんな。いままで俺がどれだけ努力してきたと思っているんだ。と結ばれて、幸せになるために今まで努力してきたって言うのに…!
今度は、キオクに邪魔されちまった。キオクさえ宿さなければは確実に俺のモンだったの違いないのに…!!

「なんでッ…だよォ…なにが駄目だったんだ…ッ?!」

病室から出て、真横の壁を思い切り殴りつけた。壁をへこますほど力はないが、俺の拳からは血が流れた。

「なんだよッもう、何なんだ…!?どうしてだ…!!」

「見苦しいぞ、鬼」

涙でぐしゃぐしゃになった俺に声をかけて来たのは、今一番顔を見たくなかった毛利だった。
毛利は手ぶらで、に会いに来たっていうのか?恋人なら何か持って来いよ、と、俺はもう頭の中がソレでいっぱいだった。

「毛利ィッ…!」

「…アレは我のものではないぞ」

の病室を見て毛利はぼそっと呟いた。
まさか、キオクを取り戻したからの想いを跳ね除けたってのか?じゃあ俺のこの想いはどうなる、この何処へたたきつけられるでもないこのへの想いを踏みにじる気なのか?



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