第8章 戦利品を招き入れた
「…出たわよ」
「お、おう」
なんとも言えない緊張感が俺たちの間を駆け巡る。なんだって俺は風呂まで貸しちまったんだか…数十分前の俺をぶん殴りてぇ。
は化粧を落とす為と匂いを消すために帰り際に銭湯による予定だったらしく、着替えも下着も石鹸も持ってた。だからの体からは俺の匂いじゃない優しい香りがする。
「じゃ、じゃあ送っていくな」
「…うん」
は眠くなっちまったのか目をこすりながら荷物をまとめる。俺もそれを手伝って車の所まで運んでやると嬉しそうにお礼を言ってきやがった。律儀な奴だよな…。
「おら、着いたぞ」
「んー…有難う」
代わりに荷物を持ってやって部屋まで連れていく。きっとこんなことをにしている男は今の所俺だけだろうな。そう思うと俺はなんだか勝ち誇ったような気がしてきた。
「ゆっくり休めよ、おやすみ」
「…長曾我部」
「あー?」
「…おやすみなさい」
何を言おうとしたのか俺には分からなかった。ちゃんと俺が聞き返せばよかったんだが、かなり眠そうにしてたし、いいかなと思って俺はもう一度おやすみと言ってドアを閉めた。