第7章 戦利品しか見えない
「元親、もう酔ったのか?」
「…んなわけねぇよ、俺を誰だと思ってんだ?」
独眼竜に名前を呼ばれて驚いたが、すぐに呑み込んだ。
確かにここで西海の鬼だとか独眼竜だとか呼び合ってたら通り名だと理解はされるだろうが、あんまり良くねぇ職業についてると思われちまうと判断したんだろう。見た目が見た目だしな。
「政宗ェ、ちょいと外出てくるな」
「おう」
まだ話し込んでる女共は独眼竜…いや、政宗に任せて外の空気を吸いに行くことにした。
「…たく、なんだあのくっせェ環境は」
外の排気ガス臭い空気も気にならないほど店内はクサかった。
ありゃ女だけじゃねぇ、男も香水つけまくってんだろ…フザけんな、服に染み付いちまうだろうがよ
「…?」
服に染み込んじまった香水の匂いを気にしながら煙草を片手に、ライターで火をつけようとすると横から視線を感じた。
横を向くとふくれっ面でにらみつけてる若い女がいた。顔はよく見ないが、細身で余計な肉が付いてない女。
「…アンタもここの参加者か?」
そう聞けば女は肩をびくっと震わせてから頷いた。相変わらずその女の顔は髪の毛の影が邪魔してよく見えない。
「嫌になっちまうよな、香水クサくて…やってらんねェ、そう思わねぇか」
女はまた頷いて腕を組みなおしていた。壁に寄りかかってだるそうに空を眺めている。
「煙草吸ってもいいか?」
また頷く。喋るのが苦手なのか?そんな事は聞けるはずもなく俺はおう、といってから煙草に火をつけた。