第7章 戦利品しか見えない
「よう、西海の鬼」
「独眼竜!まさかアンタがこの主催だったとはな」
「それに参加してくるとは思ってなかったぜ?」
独眼竜は相変わらず東北の方で社長をして、部下にあの右目も従えているらしい。
今日は右目はいないらしい。まァこんなところに強面がいたら怖くて誰もしゃべれないだろうな。
「俺ァ進んで参加したわけじゃねぇさ、真田の代わりだ。」
「あー…どうせ猿が真田の仕事内容でも把握して無かったんだろ、そんで新入社員のアンタにまわってきた…ってとこだろ?」
「なんでもお見通しだなァ!」
「俺ぐらいになりゃ余裕だ」
独眼竜の肩をバンバン叩いて笑えば叩き返してくる。やっぱ敵同士じゃなきゃきっとあの時代でもこんな風に笑いあいながら月見酒でもできてたんだろうな。
昔の事なんか振り返らずともまた新しく仲良くすりゃいい話なんだろうが、どうしてもこうしてると昔のことを思い出して、後悔したり喜んだりしちまう。きっと目の前にいる独眼竜はそんな事はないんだろうな。
「あ、あの…」
「Ah?」
「お話ししませんか?」
独眼竜と俺に声をかけてきやがったのは小柄で弱弱しそうな女四人組だった。きっつい香水つけてんだろうな、目がショボショボするくらいくっせぇ。
だが独眼竜は慣れてんだかしらねぇがそれを気にせずに席の方に女をつれていく。俺もそれを習って一緒の席に着いた。
「お2人は御友人なんですかぁ?」
「まー…古い友だ、切っても切れない縁ってとこだな!」
「仲良いんですね!羨ましいなぁ…」
その女共はぺらぺら話をするが、俺は殆ど耳に入ってこなかった。
そいつらの子供の時の話だとか、どんな趣味を持ってるとか、正直どうでもいい。さっさとこの香水地獄から抜け出したかった。
けばい、クサい、俺はこの地獄をどう切り抜ければ全然わからねぇ。